Top > 住まいのコラム一覧 > 【家づくり】プロが教える!予算オーバーを乗り越える賢い減額方法
家づくりは夢が膨らむ一方で、どうしても予算オーバーの壁にぶつかることがあります。あれもこれもと理想を詰め込んでいくと、気づけば予算を大幅に超えてしまった...という話は少なくありません。
でも、やみくもに削ってしまうと、後で後悔することになる可能性もあります。そこで今回は、プロがおすすめする賢い減額方法と、避けるべき減額ポイントについて、動画の内容をもとに解説します。
まず、知っておくべき最も重要なことは、減額できる項目は限られているということです。あれもこれもと手を出すのではなく、効果的な項目に絞って検討することが重要です。
プロが挙げる、減額できる主な項目は以下の3つです。
これらの項目を中心に、具体的にどのように減額を進めるべきかを見ていきましょう。
賢い減額方法として、プロが最もおすすめするのは、家の面積を小さくすることです。家はさまざまな材料の組み合わせでできており、面積を小さくすることは、使用する材料や工事費全体に大きく影響するため、最もシンプルかつ効果的な減額方法と言えます。
面積をコンパクトにするためには、自分たちの要望を整理し、何が本当に必要なのかを理解することが大切です。例えば、シューズクロークやファミリークローゼットが必要かどうかなど、生活スタイルに合わせて優先順位をつけていくことで、無駄なスペースをなくし、面積を効率的に使うことができます。
減額の方法としては考えられますが、プロはあまり推奨していません。なぜなら、目先の費用を抑えるために品質を下げると、将来的にリフォームや修繕の費用がかさむ可能性があるからです。中長期的な視点で見ると、かえってコストアップにつながる恐れがあるのです。
特に、断熱性能などの性能を下げると、日々の電気代にも影響してくるため、我慢したつもりでも別の形でお金が出ていくことになります。品質を下げることの影響は、修繕積立金などにも大きく関わってきます。後々のコスト増や後悔を避けるためにも、全体の品質を下げることによる減額は慎重に検討する必要があります。
土地の価格は、家づくり全体の予算に大きな影響を与えます。特に土地を持っていない場合、土地探しで予算オーバーしてしまうケースが多く見られます。
土地選びでの減額は、少し視野を広げることがポイントです。希望エリアから少し離れた、不便に感じられる可能性のある立地(例えば、県庁所在地から隣町に行くなど)にすることで、同じ面積でも土地価格を抑えられる場合があります。通勤・通学の利便性や将来の住み心地などを考慮しつつ、土地の金額を下げることを検討しましょう。
ただし、土地によっては、道路との高低差が大きい、地盤が弱い、特定の条例がかかっている(防火地域や地区計画など)といった理由で、後から造成工事や仕様変更などで工事費用がコストアップするリスクがあります。不動産会社は土地取引に詳しいですが、工事費への影響については住宅会社の方が詳しい場合があります。
そのため、土地探しは住宅会社と協力して行うことがおすすめです。住宅会社はネットに出ていない土地情報を持っていることもありますし、工事費への影響を事前にチェックしてくれるなど、リスク管理の面でもメリットがあります。
そして何より、気になる土地が見つかったら、必ず複数回、様々な時間帯に現地を見に行くことが重要です。ネットや情報だけでは分からない、ゴミ捨て場の状況、近所の雰囲気、交通量、自治体独自のルール(町内会など)は、実際に足を運ばなければ分かりません。自治体によっては、子育て支援や住宅関連の補助金制度が充実している場合もあるので、広い視野で検討すると良いでしょう。
減額する際に、絶対にと言っていいほど避けるべき点があります。それは、毎日使うものや目に触れるものの質を下げることです。
家具や家電も同様に、新生活で一式揃えるとなるとまとまった費用(例えば家電だけで80万円程度かかるという情報もあります)がかかりますが、これらも毎日使うものなので、安易にグレードを下げるのは避けた方が良いでしょう。家具もインテリアショップで見ると数十万円単位になりますが、家づくり全体の費用(数千万円)から見れば、家具や家電の減額効果は限定的です(例えば、30万円のソファを3万円に変えても27万円の減額)。家づくりの減額は100万円単位で考えるのが効果的です。
そもそも家づくりを始める前に、予算を正しく決めることが重要です。予算は、銀行が「借りれる」と言った額面だけではなく、将来にわたって「返せる」金額で考える必要があります。そのため、現在の収入だけでなく、将来の家族構成の変化、教育費、老後資金なども含めた**ライフプランニング(生涯の収支シミュレーション)**を行うことが推奨されています。
予算計画は、「足し算」ではなく「引き算」で行うと失敗しにくいとされています。まず全体の予算を確定し、そこから本体工事費、付帯工事費、消費税、諸費用、家具家電などの費用(これらはある程度相場や目安が分かります)を差し引いて、最後に残った金額で土地を探すという考え方です。これは、土地価格は物件によって変動が大きく、先に土地で予算を使いすぎてしまうと、建物やその他の費用にしわ寄せがきてしまうためです。引き算で考えることで、予算内で希望の家を建てられる土地を見つけやすくなります。
住宅ローンについては、金利だけでなく、万が一の場合に保障される団体信用生命保険(団信)の内容もしっかり確認することが重要です。また、返済期間は、一旦長めに組んでおき、資金に余裕ができたら繰り上げ返済で期間を短縮する方法がリスクマネジメントとして有効とされています。手元にある程度の自己資金(数百万円程度)があると、家づくりの過程で発生する諸費用や不測の事態にも対応しやすいため安心です。
賢い家づくりの減額は、以下のポイントを意識して進めましょう。
家づくりは単に建物を建てるだけでなく、その後の暮らし全体に関わる長期的なプロジェクトです。目先の金額だけでなく、中長期的な視点を持って、自分たちの理想の暮らしを実現できる範囲で賢く予算を調整していくことが、成功する家づくりにつながるでしょう。