Top > 住まいのコラム一覧 > 一級建築士が教える!家づくりを成功させる!住宅営業マンとの賢い付き合い方とコミュニケーションの秘訣
「一生に一度の大きな買い物」と言われる家づくり。多くの人にとって、そのプロセスは希望に満ちていると同時に、不安や疑問が尽きないものです。特に、「住宅会社の営業マンは本当に大切なのか?」という疑問を抱く方は少なくありません。一級建築士の鶴美氏によると、その答えは「はい、大切です」ですが、彼らを単なる販売員ではなく「チームメイト」として捉え、家づくりの「リーダー」はあなた自身であるという認識を持つことが、成功への第一歩となります。
家づくりのプロジェクトにおいて、住宅会社の営業マンは、あなたの決断をサポートする重要なチームメイトです。彼らの仕事は、皆さんの要望を具体化し、リスクやメリット、デメリットといった必要な情報を説明し、皆さんが適切な判断を下せるようアシストすることにあります。
家づくりは、人生における大きな買い物であり、契約の成功はあなたたち自身にかかっています。住宅会社の人々は、皆さんの明確な要望がなければ、何を段取りして良いか分かりません。だからこそ、あなたはリーダーとして積極的にコミュニケーションを取り、要望を具体的に伝えることが不可欠なのです。
営業マンとの関係においては、正直でオープンなコミュニケーションを心掛けることが非常に重要です。変な駆け引きは家づくりを難しくする原因となります。営業マンには、顧客のニーズや要望をしっかりと聞く姿勢が求められ、自社のサービスや商品について分かりやすく説明する能力が必須です。
例えば、「収納をたっぷり欲しい」という要望はよくありますが、これは非常に抽象的です。靴が5足の人と30足の人では「たっぷり」の基準が異なります。「夫婦で靴が60足あるなら、それに見合ったシューズクロークが絶対に必要」といったように、具体的な数量や使い方、過ごし方をイメージして伝えることで、営業マンはそれを具体的なプランに落とし込みやすくなります。
また、すべての要望を叶えるのが難しい場合も出てきます。その際に、「これだけは譲れない」という優先順位を明確にしておくことが重要です。優秀な営業マンは、顧客の矛盾した要望を紐解き、優先順位をつけ、具体的な提案をする、いわば「翻訳する力」を持っています。彼らは顧客の潜在的な要望を把握するヒアリング能力に優れています。
家づくりは長期的な暮らしを決めるものであり、その難易度は高くて当然だと理解することが重要です。一度で完璧な家が見つからなくても当然だと捉え、中長期的な視点で臨むことが成功の秘訣です。この計画が失敗しないためには、予算の設定が鍵となります。
家づくりの予算を決める上で最も大切なのは、「借りられるお金」ではなく「返せる予算」で考えることです。住宅ローンは「借りられるお金」の基準しか示されない場合が多く、安易に借りられる額で計画すると、失敗に繋がる可能性があります。将来かかる学費や老後資金など、家族のライフプラン全体を考慮した資金計画を立てることが重要です。これにより、後悔のない家づくりが実現します。
予算オーバーを防ぐための減額項目は主に3つあります。
なお、内装や外装の仕上げ、住宅設備のグレードを下げる減額方法は、日々の満足度を直接下げることに繋がりやすいため、推奨されません。毎日使うものには、しっかりお金をかけるべきです。
家づくりを進める中で、ネット上には様々な情報があふれています。そうした情報に惑わされず、住宅営業マンが採用している材料や工法について、その採用理由や根拠を積極的に質問する勇気を持ちましょう。これはトラブル解決にも繋がる大切なことです。
信頼できる会社は、メリットとデメリットを天秤にかけ、コストとのバランスを考慮した上で、きちんと理由を説明してくれます。例えば、「この断熱材は水に弱いですが、適切な施工方法を取ることで安価で高性能な断熱材として機能します」といった説明です。過去の実績や対策についても質問し、確認することが大切です。これにより、不安が軽減され、安心して家づくりを進めることができます。
住宅業界には、他社の揚げ足を取るような見苦しい言動も存在します。「この窓はダメ」「この断熱材は良くない」といった無責任な声に踊らされないことが重要です。本当に信頼できる営業マンは、自社が採用している技術や内容について豊富な経験を持ち、顧客からの質問に対し丁寧かつ正直に回答し、顧客の理解を深めることができます。
住宅ローンは、長く支払い続けるものです。したがって、金利以外のリスク要因も把握することが重要です。例えば、団体信用生命保険の内容や借り方は金融機関によって違いがあります。また、繰り上げ返済によって元金を減らせる方法もあります。これらの計画は失敗を避けるためにも、事前に知っておくべき注意点です。
多くの人が家づくりに時間がかかってしまうのは、最初の勉強や情報収集、資金計画といった、自分たちの「物差し」を作る準備をせずに動き出してしまうためです。何百社とある住宅会社の中から自分たちに合った会社を見極めるためには、正確に測るための物差しが必要なのです。
家づくりの目的とは、「どういう家を建てるか」ではなく「どういうライフスタイルを送り、どういう暮らしをしたいか」から考えることが重要です。例えば、「共働きが必須となるのか」、あるいは「趣味や旅行など家以外のことにお金をかけることが家族の幸せなのか」といったことです。このような価値観をしっかりと整理し、情報収集を行うことが、後悔しない家づくりへの第一歩となります。
家づくりを始める前に、あなたの価値観とライフプラン、資金計画をしっかり立てて「物差し」を作ることが大切です。これにより、自分たちが迷わなくなり、住宅会社のペースに惑わされず、計画通りにスムーズに進めることができます。この段階で事前に知識を得ることで、安心して家づくりを進めることができるでしょう。
家づくりは困難なプロジェクトですが、成功させるためには、営業マンとの賢い付き合い方が重要です。あなたがリーダーとして、正直かつ具体的にコミュニケーションを取り、疑問点には「なぜ?」と質問して納得のいく説明を求めることが大切です。
家づくりを「暮らしづくり」として捉え、家族のライフスタイルと資金計画を長期的な視点で検討しましょう。事前の勉強と情報収集によって自分たちの物差しを明確にすることで、住宅会社との打ち合わせがより生産的になり、理想の家を実現する可能性が高まるでしょう。
これらのポイントを意識することで、住宅営業マンと良好な関係を築き、後悔のないマイホーム計画を成功へと導くことができるはずです。